こんにちは、サイハンです!
結婚式場に到着して受付を通り抜け、席次表を見ると僕を含む数人のサクラの偽名が刷り変わっていない事に気付きました。
「名前刷り替わってないですね…?」
一難去ってまた一難
これまでこのアルバイトに何度か参加しているサクラの子は、「ちょっと確認する!」と言って片耳にiPhoneをあてて式場の外に出て行きました。
数分後に彼は戻ってきて、パンフレット席次表の中から小さな訂正紙を出して見せてくれました。
「これに差し替えになったらしいよ」
その訂正紙の席次表だと、僕を含む数人のサクラの名前はちゃんと新しい偽名に変わっていたのです。
なぜかその訂正紙は僕の持っているパンフレットには同封されていなかったので、めっちゃ焦りました。。
(まあ、新しい偽名で受付を通過できてるわけだしな、なんかカラクリがあるとは思ったよ!)
でもパンフレット自体の刷り替えじゃなくて訂正紙の差し替えになったってことは、結婚式が始まる結構ギリギリカツカツに名前が変更になったのは間違いありません。
「◯◯様(以下新郎くん)の結婚式に出席される方でしょうか?」
ソファで皆と居ると、結婚式場のスタッフに声を掛けられました。
「はい!!」と元気良く答えると、「あちらでお飲み物をご用意してますので、どうぞ!」と式場のカフェに案内されました。
カフェの入り口で飲みたい物をメニューから注文すると、カフェ内のどこに座るかを無言のまま皆で考えます。
そして、奥に2テーブル分の席が空いている事に気付きました。で、他の出席者と隣り合っているテーブルは避けて、、無事着席。
(同じ式の出席者だとしても、まさか流石に空のテーブルを乗り越えて、更に奥のテーブルまでは声を掛けて来ないでしょうw)
でもなんか目が合ったら、「おめでとうございます!新郎くんのお友達?」みたいな感じで声を掛けられそうな気もするので、できるだけサクラ内で目を合わせます。(笑)
新郎くんの関係者はお仕事上、どうやらガテン系の出席者の方が多いみたいですね。ちょっと明らかに色白が多くてナヨッとしている僕らサクラ一同は場の雰囲気に馴染めず浮いているかもしれません。
でもガテン系の人にもナヨッとした友達が居ても別にいいでしょう(笑)
オレンジジュースを飲んでいると、カフェの入り口から1人、綺麗に剃り上げた五分刈りに少し色の入ったサングラスを掛けて、颯爽とスーツ姿の男性が入ってきました。
片手の手の甲に墨で絵が描いてあります。(以下、お絵描き男)ん、ガテン系?ではない。。。これは本物の墨なのかな?
・・・とりあえずまあ、色々本物かどうか分かりませんが、気を付けましょう!(笑)
チャペルでの一連の儀式は無事終了し、チャペルの外で出席した皆(サクラ一同含む)で撮影。僕はとびきりの笑顔で映りました。
メインイベントの披露宴が始まる
さあ、待ちに待った披露宴です。美味しい料理が食べられることがこのアルバイト1番の醍醐味ですね!
披露宴はかなりアツいです!3年前の友人の結婚式を思い出します。
訂正紙を見て、もう一度自分の席の位置を確認することに。
松本涼介はこの席だったけど、松田祐介はこの席になるのか。。ちょっとややこしいなw
元の設定だと、松本涼介が居るテーブルの席に着くのは一人残らず全員がサクラ。松田祐介だと、新郎くんの高校時代の同級生2人と一緒のテーブルになっています。
そう言えば、3年前に友人の結婚式に参加した時も確か、友人の高校時代の同級生2人と同じテーブルの席に着きました。
その時も友人の同級生達とそこまで話は盛り上がらなかったし、今回は尚更わざわざ無理に話して墓穴掘る必要はないよね!
とは思っていたんですが、さっきの受付のスタッフを担当していた2人(彼らが新郎くんの同級生)が実際に目の前の席に座ると、早速同じテーブル上で会話が始まりました。
新郎の同級生A:「どうも!新郎とは何の繋がりですか?」
その瞬間、一瞬僕を含むサクラ達の空気が凍りつく。
同じテーブルには両サイドにサクラが2人居たので、焦らずに力を貸してもらいます。
サクラA:「新郎くんとは、仕事で福岡に研修来てた時の飲み友達なんですよー」
サイハン:「ここに居る3人は、皆その繋がりなんですよ」とすかさず突っ込みます。
同級生A:「福岡で研修…?飲み友達なんですね??てか、アイツそんなの居たんだね(笑)」と同級生Bと一緒に結構ウケています。
結婚式場のスタッフによって、各テーブルの席に薄くて高価そうなワイングラスが配られました。
残りのサクラ達が座っている席を確認すると、なんと例のお絵描き男と同じテーブルに座っていました。どうやらこのテーブルも新郎くんの友人枠のようです。
お絵描き男はどうやら同じテーブルのサクラ全員に名刺を配っている様子、これは違うテーブルで本当に良かった。。僕が誤魔化すにはハードルが高過ぎます。。(笑)
新郎くんからの挨拶が終わり、乾杯に!
乾杯後、新郎くんの同級生にビールを注いで、いよいよこのアルバイトのミッション『サクラ全員で新郎新婦と記念撮影』の時間がやって参りました。
新郎新婦の元へ、会社の同僚、新婦の友人達が集まって、次々に一緒に記念写真を撮っていきます。
僕等もまた両手で瓶ビールを持って、写真撮影の列に並びます。とうとう順番がきました。運命の時間です!
それも運命の時間とは残酷なもので、なぜかこのお絵描き男が僕達サクラ一同と一緒に記念写真に映ることにw
全然知らない新婦さんの友人にスマホを渡して、サクラ全員が写っている写真を撮影してもらいます。周りから向けられる視線の中に少なからず疑念の目が含まれているような気がします。
何か表情が硬くぎこちのないこの一同は、新郎?新婦?一体どちらと?どういう繋がりなのだろうか?という目。
写真に映る中で真実を知っているのは、僕らサクラ一同と新郎新婦だけ。このお絵描き男は新郎くんの本物の友人でしたが、同じ写真に映る彼だけが一連の真実を知らないのです。
・・・カシャ!
シャッターが切られました。この写真は永遠にお絵描き男の元に残るでしょう。その一枚に僕達サクラ一同は映ってしまったのです。
結婚式の代理出席って、、なんてシュールなんだ。。
続く。。
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